Q10. 相続した土地が「共有名義」なのですが、一部の共有者が反対している場合や連絡が取れない場合はどうすればいいですか?

回答:

共有名義の土地は、本制度において最も手続きが複雑になるケースの一つです。法律上のルールとして、相続土地国庫帰属制度の申請は**「共有者全員が共同して行わなければならない」**と定められています。つまり、持分を少しでも持っている人が一人でも反対していれば、その土地を国に帰属させることはできません。

例えば、兄弟3人で実家の跡地を3分の1ずつ共有している場合、長男と次男が「国に返したい」と思っていても、三男が「いつか使うかもしれないから嫌だ」と言えば、申請は不可能です。この場合、行政書士としては、まず三男に対して制度のメリット(将来の管理責任や納税義務がなくなること)や、放置し続けた場合のデメリットを丁寧に説明し、合意形成を図るサポートを行います。

より深刻なのは「共有者の一人と連絡が取れない(行方不明)」というケースです。この場合、共同申請ができないため、そのままでは制度を利用できません。解決策としては、まず裁判所に対して「共有物分割訴訟」を提起し、土地を単独名義にする手続きを経るか、あるいは「所在判明共有者の持分譲渡」などの制度(令和5年施行の改正民法)を利用して、行方不明者の持分を取得し、自分一人の名義にしてから申請するという、かなり高度な法的プロセスが必要になります。

また、共有者の中に「相続以外」で持分を得た人(例えば、昔に叔父から買い取った人など)が含まれている場合でも、共有者の中に一人でも「相続で取得した人」がいれば、全員で申請することが可能です。しかし、この場合も「全員の同意」という原則は変わりません。

共有地の問題は、単なる書類作成の範疇を超え、親族間の人間関係や高度な民事法務の知識が要求されます。当事務所では、共有者間の合意形成のためのアドバイスや、法的な解決策の提示、さらには連絡が取れない共有者の調査など、入り口の部分から手厚くサポートいたします。共有名義だからと諦める前に、まずは現状を整理するためのカウンセリングをご利用ください。

 


Q&A 目次

Q1. 相続土地国庫帰属制度とはどのような制度ですか?その設立趣旨と社会的意義を含めて教えてください。➤

 

Q2. 制度を利用できる「申請権者」にはどのような制限がありますか?共有地や生前贈与の場合についても詳しく解説してください。➤

 

Q3. 「建物がある土地は申請できない」とありますが、具体的にどこまでが建物に含まれますか?また、解体時の注意点は?➤

 

Q4. 境界が不明確な土地でも申請は可能ですか?ガイドライン第2版で緩和された内容を含めて教えてください。➤

 

Q5. 承認された際に支払う「負担金」はどのように計算されますか?具体的なケーススタディを交えて教えてください。➤

 

Q6. 「地目」によって負担金や審査基準はどう変わりますか?登記簿上の地目と現況が異なる場合の注意点も教えてください。➤

 

Q7. 隣地所有者が行方不明、または協力が得られない場合でも申請は通りますか?➤

 

Q8. 土地の中に「他人の工作物」や「電柱」「水道管」がある場合はどうなりますか?➤

 

Q9. 申請後に「不承認」となった場合、支払った費用はどうなりますか?再申請は可能ですか?➤

 

Q10. 相続した土地が「共有名義」なのですが、一部の共有者が反対している場合や連絡が取れない場合はどうすればいいですか?➤

 

Q11. 申請した土地が「崖地」に該当するかどうかの判断基準を教えてください。➤

 

Q12. 土地を国に返すために「分筆(ぶんぴつ)」を行う際の注意点は何ですか?➤

 

Q13. 「農地」を国庫帰属させる場合、農業委員会などの手続きは別途必要ですか?➤

 

Q14. 土地の中に「ゴミ」や「産業廃棄物」が埋まっている可能性がある場合は?➤

 

Q15. 申請から承認までの約半年〜1年間、土地の管理はどうすればいいですか?➤

 

Q16. 承認された後に「負担金」をもし支払わなかったらどうなりますか?期限や納付方法についても教えてください。➤

 

Q17. 申請の手続き中に所有者(申請者)が亡くなってしまった場合、手続きはどうなりますか?➤

 

Q18. 森林の負担金計算における「面積加算」の仕組みと、管理コストの関係について詳しく教えてください。➤

 

Q19. 「遺贈」によって土地を取得した人は、相続人以外でも申請できますか?➤

 

Q20. 建物解体時に「建物滅失登記」を忘れたまま申請するとどうなりますか?➤

 

Q21. 隣地が「公道」や「水路」などの公有地である場合、境界の考え方はどうなりますか?➤

 

Q22. 申請を途中で取り下げたくなった場合、どのような手続きが必要ですか?また費用は戻りますか?➤

 

Q23. 承認されて国に土地を返した後で、「やっぱり返してほしい」と言えるのでしょうか?➤

 

Q24. 法務局から「土壌汚染調査」を求められるのは、具体的にどのようなケースですか?➤

 

Q25. 土地の中に「祠(ほこら)」や「お墓」がある場合、国に引き取ってもらえますか?➤

 

Q26. 「崖の上」にある土地と「崖の下」にある土地。審査に通りにくいのはどちらですか?➤

 

Q27. 代理人(行政書士)を立てる際、本人確認や意思確認はどう行われますか?➤

 

Q28. 固定資産税が「非課税」の土地でも、国に返す際に負担金はかかりますか?➤

 

Q29. 「相続放棄」と「相続土地国庫帰属制度」、どちらがお得ですか?➤

 

Q30. 行政書士に依頼する際の「費用の目安」と「良い事務所の選び方」を教えてください。➤