Q26. 「崖の上」にある土地と「崖の下」にある土地。審査に通りにくいのはどちらですか?

回答:

Q11で崖地の基準(30度・5メートル)について解説しましたが、相談者様からは「崖そのものではなく、崖に隣接している土地はどうなのか」という質問をよくいただきます。結論から言えば、「崖の上」にある土地の方が、審査においてより慎重に判断される傾向にあります。

理由は、国がその土地を引き取った後の「責任の範囲」にあります。もし崖の上にある土地を引き取った後、大雨などでその崖が崩れ、下の家や道路に被害を与えた場合、土地の所有者である「国」が工作物責任(民法717条)を負うことになります。国は税金で損害賠償をしたり、多額の費用をかけて崖の復旧工事を行わなければなりません。このリスクを避けるため、崖上の土地は「将来の管理コストが過大」と判断されやすく、不承認になる確率が高まります。

一方で「崖の下」にある土地はどうでしょうか。崖下が平坦であり、かつ崖自体が隣地の所有物である場合、自分の土地が崩れるリスクは低いと判断されることがあります。ただし、上の崖が崩れてきたときに自分の土地が埋没する危険がある場合、国はその土地を「有効活用できない死に地」とみなし、やはり引き取りを拒否することがあります。

判断を分けるポイントは、「現在の崖の健全性」です。例えば、崖の上であっても、最新の基準で作られた頑丈なコンクリート擁壁があり、水抜き穴からも適切に排水されていることが証明できれば、承認される可能性は残されています。逆に、自然のままの斜面で、地滑りの兆候が見られるような場合は、上でも下でも非常に厳しい審査となります。

当事務所では、現地の地形を確認する際、単に自分の土地だけでなく、隣接する崖の状況も観察します。必要であれば、過去の地盤調査資料や近隣の工事記録なども探し出し、「この土地が国にとって将来の負債にならないこと」を論理的に説明するための資料作りをサポートします。

 


Q&A 目次

Q1. 相続土地国庫帰属制度とはどのような制度ですか?その設立趣旨と社会的意義を含めて教えてください。➤

 

Q2. 制度を利用できる「申請権者」にはどのような制限がありますか?共有地や生前贈与の場合についても詳しく解説してください。➤

 

Q3. 「建物がある土地は申請できない」とありますが、具体的にどこまでが建物に含まれますか?また、解体時の注意点は?➤

 

Q4. 境界が不明確な土地でも申請は可能ですか?ガイドライン第2版で緩和された内容を含めて教えてください。➤

 

Q5. 承認された際に支払う「負担金」はどのように計算されますか?具体的なケーススタディを交えて教えてください。➤

 

Q6. 「地目」によって負担金や審査基準はどう変わりますか?登記簿上の地目と現況が異なる場合の注意点も教えてください。➤

 

Q7. 隣地所有者が行方不明、または協力が得られない場合でも申請は通りますか?➤

 

Q8. 土地の中に「他人の工作物」や「電柱」「水道管」がある場合はどうなりますか?➤

 

Q9. 申請後に「不承認」となった場合、支払った費用はどうなりますか?再申請は可能ですか?➤

 

Q10. 相続した土地が「共有名義」なのですが、一部の共有者が反対している場合や連絡が取れない場合はどうすればいいですか?➤

 

Q11. 申請した土地が「崖地」に該当するかどうかの判断基準を教えてください。➤

 

Q12. 土地を国に返すために「分筆(ぶんぴつ)」を行う際の注意点は何ですか?➤

 

Q13. 「農地」を国庫帰属させる場合、農業委員会などの手続きは別途必要ですか?➤

 

Q14. 土地の中に「ゴミ」や「産業廃棄物」が埋まっている可能性がある場合は?➤

 

Q15. 申請から承認までの約半年〜1年間、土地の管理はどうすればいいですか?➤

 

Q16. 承認された後に「負担金」をもし支払わなかったらどうなりますか?期限や納付方法についても教えてください。➤

 

Q17. 申請の手続き中に所有者(申請者)が亡くなってしまった場合、手続きはどうなりますか?➤

 

Q18. 森林の負担金計算における「面積加算」の仕組みと、管理コストの関係について詳しく教えてください。➤

 

Q19. 「遺贈」によって土地を取得した人は、相続人以外でも申請できますか?➤

 

Q20. 建物解体時に「建物滅失登記」を忘れたまま申請するとどうなりますか?➤

 

Q21. 隣地が「公道」や「水路」などの公有地である場合、境界の考え方はどうなりますか?➤

 

Q22. 申請を途中で取り下げたくなった場合、どのような手続きが必要ですか?また費用は戻りますか?➤

 

Q23. 承認されて国に土地を返した後で、「やっぱり返してほしい」と言えるのでしょうか?➤

 

Q24. 法務局から「土壌汚染調査」を求められるのは、具体的にどのようなケースですか?➤

 

Q25. 土地の中に「祠(ほこら)」や「お墓」がある場合、国に引き取ってもらえますか?➤

 

Q26. 「崖の上」にある土地と「崖の下」にある土地。審査に通りにくいのはどちらですか?➤

 

Q27. 代理人(行政書士)を立てる際、本人確認や意思確認はどう行われますか?➤

 

Q28. 固定資産税が「非課税」の土地でも、国に返す際に負担金はかかりますか?➤

 

Q29. 「相続放棄」と「相続土地国庫帰属制度」、どちらがお得ですか?➤

 

Q30. 行政書士に依頼する際の「費用の目安」と「良い事務所の選び方」を教えてください。➤